NEW 浮世絵師の歌川国芳から絵を学び狩野派に入門し“何でも描ける” と喝采された河鍋暁斎の大阪で初となる特別展「すべてを描く萬(よろず)絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」が大阪・中之島香雪美術館にて2025年4月26日から開催

浮世絵師の歌川国芳から絵を学び狩野派に入門し“何でも描ける” と喝采された河鍋暁斎の大阪で初となる特別展「すべてを描く萬(よろず)絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」が大阪・中之島香雪美術館にて2025年4月26日から開催

浮世絵師の歌川国芳うたがわくによしから絵を学び狩野派に入門し“何でも描ける” と喝采された河鍋暁斎かわなべきょうさいの大阪で初となる特別展「すべてを描くよろず絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」が2025年4月26日(土)から6月1日(日)まで開催。

※以下、画像とテキストは、情報提供を受けてプレスリリースから引用

「すべてを描くよろず絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」概要

河鍋暁斎かわなべきょうさい(1831〜89) は、江戸から明治時代前半に活躍した絵師です。確かな画技と古典学習に支えられ、神仏、美人、風俗、鳥獣など様々な画題を、ユーモアや風刺、妖艶さをも伴う画風で、肉筆画・版画・版本などの形式を問わず描き、その多彩さは“何でも描ける” と喝采されました。そうした画業の根底には、狩野派としての研鑽・矜持があることが、近年再確認されています。暁斎は数え七歳で浮世絵師の歌川国芳うたがわくによし(1797〜1861) から絵を学び、十歳で狩野派に入門、早くも十九歳で修業を終えました。浮世絵と狩野派、二つの流れにくみしたことが、彼の画業をより彩り鮮やかにしているのです。

大阪で初の河鍋暁斎展となる本展は、暁斎の曾孫・河鍋楠美氏が創設し、館長を務める公益財団法人河鍋暁斎記念美術館の所蔵作品を中心に、榮太樓總本鋪所蔵の「枯本寒鴉図こぼくかんあず」を特別出陳するとともに、暁斎旧蔵の「戯画図巻」をはじめ、香雪美術館が所蔵する狩野派、中国絵画作品にも触れつつ、正統派絵師として彼を賛える機会を創出します。

「すべてを描くよろず絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」みどころ

プロローグ:狩野派・中国絵画

暁斎は古画を旺盛に学び、自らの画嚢がのうを肥やしました。それは十歳で入門した狩野派の教育方法であり、また、暁斎自身が持つ探究心によるものです。狩野派は幕府御用絵師として、絵師の個性よりも依頼者の要望に応えられることが重要であり、将軍家や寺院に伝わる和漢の名品を写し取るなどして蓄えた粉本ふんぽんを用い、弟子を養成する制度を確立しました。暁斎の強靭で的確な筆さばきや堅牢な画面構成などの画技、古典の教養や吉祥性を伴う画題への知識は、彼の絵師としての出自を容易に推測させます。

プロローグでは、画業のいしずえとなった狩野派や、さらに狩野派が規範とし、かつ目指した中国絵画を紹介し、暁斎以前の絵画の様相を垣間見ます。また、暁斎愛蔵の「戯画図巻」にも触れ、戯画も狩野派の伝統の一つと正当性を確信していたことも示します。

第1章:狂斎 一江戸と明治

暁斎は歌川国芳に入門しますが、禁令をかいくぐり役者絵や風刺画を制作する国芳の素行を、父の記右衛門が案じたのか、わずか二年で門を去ります。その後は狩野派の前村洞和まえむらとうわ狩野洞白陳信かのうとうはくのりのぶのもとで修業し、「洞郁陳之」の号を得て一人立ちします。当時は幕末― 「江戸」の価値基準が揺らぎはじめた時期―で、狩野派としての仕事とともに、国芳譲りの浮世絵や戯画(狂画) を描きました。「狂斎」と名乗ったのもこの時期です。一方、流派を問わずに模写するなど、研鑽は怠らなかったようです。

狩野派での修業や、中国絵画の模写、浮世絵版画も手掛けた時代の作例からは、歴史のはざまで模索を続ける暁斎の姿が浮かび上がります。

「すべてを描く萬絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」《風流蛙大合戦之図》元治元年(1864)

河鍋暁斎《風流蛙大合戦之図》元治元年(1864)河鍋暁斎記念美術館蔵
【前期:4/26~5/11】 ※後期は異版を展示

第2章:書画会、能狂言 ー画業の一幕

書画会―書家、絵師、来客者が一堂に会し、酒食とともに書画を揮毫・即売する寄り合い―において、暁斎は花形でした。そこでの求めに応じて描くのが「席画」です。暁斎の席画は驚くべき制作速度で形態を的確に表し、さらに機知やユーモアも加え、求める人々が絶えなかったようです。書画会は、画力を示すうってつけの舞台であり、そこで酒好きの暁斎が興に任せて一気呵成に描く姿が容易に思い浮かびます。

また、暁斎は画業の傍ら、能・狂言を熱心に学んでいます。自宅に小さな能舞台があったことや、席画の場でも狂言を舞ったことも語られています。狂言の修養は作画にも結実し、「三番叟図さんばそうず」での的確な身体表現など、習熟者ならではの作品を残しています。

第3章:暁斎 一縦横無尽!!

狂斎から暁斎へ—ある書画会で「貴顕きけん嘲弄ちょうろう」したとされる席画のため捕縛・投獄された筆禍事件により改名した後も、筆を折ることなく描き続けます。神仙から山水、美人や花鳥など画題を問わず、狩野派、大和絵、円山派と各流派の技法を用いて制作しています。当時、どのような注文にも応え、なんでも描くことができるーよろずの画嚢と画技こそ、絵師としての真価でした。現在伝わる作品には、万華鏡のように多様な世界が披露されています。

本章では便宜的に画題で区分しましたが、その枠組を突き破るような、縦横無尽の暁斎の筆力をご堪能ください。

「すべてを描く萬絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」《文昌星之図》明治20年(1887)頃

河鍋暁斎《文昌星之図》明治20年(1887)頃 河鍋暁斎記念美術館蔵

「すべてを描く萬絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」《鳥獣戯画猫又と狸 下絵》

河鍋暁斎《鳥獣戯画猫又と狸 下絵》 河鍋暁斎記念美術館蔵

「すべてを描く萬絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」《文読む美人図》明治21年(1888)頃

河鍋暁斎《文読む美人図》明治21年(1888) 河鍋暁斎記念美術館蔵

第4章:鴉 ー画業の極北

明治14年(1881) に開催された第二回内国勧業博覧会にて、暁斎の「枯木寒鴉図こぼくかんあず」が絵画部門での最高賞となる妙技二等賞を受賞します。この絵に暁斎は当時の相場を遥かに上回る「百円」と値付けし、日本橋の菓子商榮太樓えいたろうの三代目細田安兵衛が購入し話題となりました。高値に批判が起こりますが、暁斎は「是ハ鴉の価にあらず。

是まで数十年の間、画の為に千辛万苦して学び得たる所の価なり」と答え、批判は聞こえなくなったと伝わります。画業の到達をはばからず誇る暁斎、大枚で価値を讃える安兵衛—鴉を通しての「気風きっぷの良さ」の応酬には、江戸時代の余香が立ち込めています。

「すべてを描く萬絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」《枯木寒鴉図》明治14年(1881)

【特別出陳】河鍋暁斎《枯木寒鴉図》明治14年(1881) 榮太樓總本鋪蔵

公益財団法人河鍋暁斎記念美術館とは?

公益財団法人河鍋暁斎記念美術館は、幕末から明治前半にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎きょうさい(1831~1889) と、暁斎の娘で同じく画家の河鍋暁翠きょうすい(1868~1935) を顕彰するため、暁斎の曾孫の河鍋楠美が創設した美術館です。

暁斎の孫の代に、太平洋戦争中の1944 年に建物強制疎開で埼玉県蕨市に一家で転居し、終戦後も蕨市に在住して眼科医院を開院した河鍋楠美は、狩野派から浮世絵まで幅広い作品を描いた暁斎が、戦前までは広く知られていたのに、いつしか日本美術史上から消えていることを憂え、顕彰活動を始めました。

1977年11月3日、河鍋楠美は新築した自宅の一室を「河鍋暁斎記念館」として美術館を創設しました。1986年に規模を大きくして財団法人の認可を受け、2012年には公益財団法人に移行し、現在に至ります。現在、河鍋暁斎記念美術館は、河鍋家に遺された暁斎・暁翠の下絵や画稿類を中心に、後に購入した肉筆画や錦絵も含め、3,500点ほどの作品を所蔵しています。また展示数は40点前後と小規模ながら、2か月に一度すべての作品を展示替えする企画展を開催し、国内外から暁斎ファンが来館しています。

住所〒335-0003 埼玉県蕨市南町4-36-4
休館日火・木曜日、毎月26 日~末日休館、年末年始期間
入館料大人/600円
高校生・大学生/500円
小・中学生以下/300円
65歳以上/500円
※学生の方は学生証、65歳以上の方は年齢のわかるものをご提示いただいています。
美術館公式サイトhttp://kyosai-museum.jp/
アクセス◆JR蕨駅西口より蕨市コミュニティバスぷらっとわらび「南ルート」(毎時15分発)⑫「河鍋暁斎記念美術館前」下車すぐ
◆JR西川口駅西口より徒歩20分
電話番号048-441-9780

ギャラリートーク

中之島香雪美術館の学芸員が作品について解説します!

開催日時5月2日(金)は17:00〜
5月17日(土)・5月31日(土)は15:30分〜
※いずれも45分程度
場所中之島香雪美術館 展示室内にて
参加費無料
※入館料が必要です。

こども無料DAY

2025年5月3日(土)~5月6日(火)
この日程に限り小学生~大学生まで入館無料(保護者は有料です)。
※学生証をご提示ください。
※未就学児は会期中無料です。

特別展「すべてを描くよろず絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」 記念講演会

記念講演会の応募方法はこちらから。
※状況により中止の可能性があります。

演題河鍋暁斎 現代人の感性に刺さるその魅力とは?
講師安村 敏信(やすむら としのぶ)氏
(公益財団法人河鍋暁斎記念美術館副理事長、静嘉堂文庫美術館館長、北斎館館長)
日時5月10日(土)14:00~15:30
会場中之島会館(中之島香雪美術館隣)
参加料500円(展覧会観覧には別途入館料が必要)
定員280名(事前申し込み・先着順)

開催概要

展覧会名特別展「すべてを描くよろず絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵」
会期2025年4月26日(土)〜6月1日(日)
※5月12日(月)に一部展示替えあり
時間10:00 ~17:00(入館は16:30まで)
※5月2日(金)、16日(金)、30日(金)は10:00~19:30(入館は19:00まで)
休館日月曜日(祝・休日の場合は開館)、5月7日
会場中之島香雪美術館
住所〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島3丁目2−4 フェスティバルタワー・ウエスト 4階
MAP
入場料一般/1,600円(1,400円)
高大生/800円(600円)
小中生/400円(200円)
※( )内は前売り・20名以上の団体料金

【割引サービス】
・本人と同伴者一名 
 朝日友の会(200円引き)、障がい者手帳(半額)
・本人のみ
 藪内燕庵維持会(200円引き)、フェスティバルホール友の会(200円引き)、
 兵庫県芸術文化協会友の会(200円引き)
チケット購入先【前売り券は~ 4/25 まで】
公式HP (オンラインチケット)、中之島香雪美術館、フェスティバルホール・チケットセンター、主要プレイガイド、コンビニエンスストア、チケットぴあ(Pコード:687₋164)、ローソンチケット(Lコード:57326)
美術館公式サイトhttps://www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima/
SNS一覧
主催公益財団法人香雪美術館、朝日新聞社
協力公益財団法人河鍋暁斎記念美術館
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