NEW 日本では30年ぶりとなる20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのジャン=ミッシェル・フォロンの大回顧展「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」が大阪・あべのハルカス美術館にて2025年4月5日から開催

日本では30年ぶりとなる、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのジャン=ミッシェル・フォロンの大回顧展「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」が大阪・あべのハルカス美術館にて2025年4月5日(土)から6月22日(日)まで開催されます。詩的でユーモアに富み、やわらかな色彩とかろやかなタッチで表現されたフォロンの作品約230点を紹介する展覧会の概要やグッズなどをご紹介します。
※以下、画像とテキストは、情報提供を受けてプレスリリースから引用
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- 01 日本で30年ぶりの大回顧展。フォロンのすべてが、ここにある。
- 02 「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」のみどころ
- 03 展覧会構成
- 03.1 Prologue:旅のはじまり
- 03.2 Chapter1:あっち・こっち・どっち?
- 03.3 Chapter2:なにが聴こえる?
- 03.4 Chapter3:なにを話そう?
- 03.5 Epilogue:つぎはどこへ行こう?
- 04 ジャン=ミッシェル・フォロン略歴
- 05 「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」関連情報
日本で30年ぶりの大回顧展。フォロンのすべてが、ここにある。
20世紀後半のベルギーを代表するアーティスト、ジャン=ミッシェル・フォロン(Jean-Michel Folon, 1934-2005)。ベルギーの巨匠マグリットの絵に魅せられ、美術の道を志した彼は、実に多彩な才能を発揮したアーティストでした。
アメリカの有名雑誌に挿絵が掲載されたことをきっかけに、その名は世界へと羽ばたいていきます。日本を含め各国で展覧会が開かれ、彼自身も世界中を旅して、その経験を創作のエネルギーとしていました。
名刺「フォロン 空想旅行エージェンシー」1990年頃
ここに、1枚の名刺があります。生前にフォロンが実際に使用していたものです。そこには、FOLONの名前とともに、AGENCE DEVOYAGES IMAGINAIRES(空想旅行エージェンシー)と記されています。つまり、空想の旅への案内人を、自ら名乗っていたのです。
この名刺から着想を得た本展は、フォロンが生み出した作品世界を、まるで空想旅行をするような気分でお楽しみいただくことをめざしています。そこに旅の道連れとして登場するのが、帽子にコート姿の「リトル・ハット・マン」。
初期から晩年まで、フォロンの作品にしばしば登場する、謎の人物です。彼とともに作品の中の世界を見回し、耳を澄ませ、対話することで、空想の旅はいちだんとスリリングで豊かな体験となることでしょう。この旅を通して世界と向き合い、自分自身をもみつめ、未来への希望を見出していただければ幸いです。
《いつもとちがう(雑誌『ザ・ニューヨーカー』表紙 原画)》1976年 フォロン財団蔵
©Fondation Folon, ADAGP / Paris, 2024-2025「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」のみどころ
1970年、大阪万博の年に初来日したフォロン。その後、日本各地を巡回する個展が何度か開かれていますが、今回は30年ぶりの大回顧展、しかも再び大阪万博の年の開催です。雑誌やポスターなど、グラフィックアーティストとしてよく知られるフォロンですが、本展ではドローイング、水彩、版画、オブジェや彫刻、アニメーションにいたるまで、マルチアーティストとしてのフォロンの魅力を、約230点の作品によって余すところなく紹介します。
シンプルだけど、豊か。
学生時代に受けた授業で、ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエの“Less is more”(少ないほうがより豊かである)という格言に出会ったフォロン。この言葉は、彼の表現の根幹となっています。墨や鉛筆のシンプルな線だけで描かれたフォロンのドローイングは、鋭い観察眼と、持ち前のユーモア、自由な想像力があいまって、みる人に新たな視点で世界と向き合うことを促してくれます。私たちはそのシンプルな線から、限りなく豊かなイメージを得ることができるでしょう。
親しみやすいけれど、深い。
フォロンが描く人や風景などのモチーフは、私たちの日常の世界とつながっており、一見したところ親しみやすくわかりやすいのですが、実はそこに一筋縄ではいかない謎やメッセージが隠れていることが多いのです。
気軽に入りこめる絵だけれど、実際に入ってみたらさまざまな気づきがあり、いつのまにか深く考えさせられる…。雑誌やポスターなどの仕事を通して、世界中の人々に、一瞬にして大切なことを伝えてきたフォロンならではの妙技といえるでしょう。
詩的だけれど、現実から逃げない。
「フォロンは、頭は雲の中だけれど、足はしっかりと地に着いた詩人でした」。フォロン財団のアンゲルロット理事長はこう語ります。軽やかなタッチとやわらかな色彩でみる人を包み込むフォロンの作品は、私たちの想像力を解き放ち、思い思いの空想旅行へと誘います。しかしそこに表されているのは絵空事ではなく、世界の現実です。
ときには悲しみや怒りすらおぼえずにいられないような…。でも、作品に込められたフォロンのメッセージは、あくまでポジティブな未来を切りひらくためのもの。世界の美しさに気づき、それを失うまいとする、希望のメッセージでもあるのです。
展覧会構成
Prologue:旅のはじまり
「絵はなんでもできるんだ。謎を生み出すことだって」。若かりし頃、マグリットの壁画に出会って絵画の可能性に目覚めたことは、やがて「空想旅行案内人」として自らの手で作品を創造していく出発点となりました。
空想旅行のはじまりを告げるプロローグでは、フォロンが20代の頃から描き続けたドローイングをはじめ、独自の視点で撮影した写真、謎めいたユーモラスな彫刻やオブジェたちが並びます。そして、この旅のよき道連れとなる「リトル・ハット・マン」も登場。フォロンの作る不思議なメガネをかけた気分で、私たちもこの世界を再発見していけそうです。
《無題》フォロン財団蔵
©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025《無題》フォロン財団蔵
©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025Chapter1:あっち・こっち・どっち?
空想の旅に出発したとたん、私たちを取り囲むのは無数の矢印です。あらゆる方向を狂ったように指し示し、街や人間を混乱に陥れる矢印の渦の中で、どのように進むべき道をみつけたらよいのでしょう?
建築を学んだ学生時代、単調で退屈な授業に反発を覚え、本格的に画家を目指す決心をしたフォロンにとって、矢印に翻弄される街や人間を描くことは、自立したアーティストとして進んでいこうとする意志表明でもありました。私たち旅人も、目を澄ませ心を澄ませ、矢印を自分の力で見極め、選びとることが、空想の旅の第一歩となるはずです。
《無題》1968年頃 フォロン財団蔵
©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025Chapter2:なにが聴こえる?
「耳を澄ませば、世界が動いている音が聴こえてきます。」そう語るフォロンの耳に届いていたのは、どのような音だったのでしょうか。目の前に繰り広げられるのは、この世界で起きているさまざまな出来事です。
自然や人間が、フォロンならではの明るく親しみやすい雰囲気で表されてはいるものの、中にはあまり穏やかとはいいがたい場面も…。フォロンが描くのは、どれも現実世界の観察から生まれたイメージであり、明日の世界を前にしての彼自身の恐怖の反映でもあるといいます。
絵の中で耳を澄ませ、心を寄せることで、私たちは自身がこの美しい地球、さらには広大な宇宙をかたちづくるまぎれもない一員であることを実感するでしょう。
《ごちそう》1983年 フォロン財団蔵
©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025Chapter3:なにを話そう?
新聞や雑誌、広告やポスター、テレビ、ラジオ、インターネットなど、ありとあらゆるメディアに囲まれた日常を送る私たち。旅の中盤では、そうしたメディアをモチーフとした作品群が登場します。
それらは、情報が氾濫するこの世界で人々がどう生きていくべきか、問うているようにも見えます。何百万人もの購読者を持つ雑誌の表紙や、600点以上にもおよぶポスター、世界で500を超える言語に翻訳された『世界人権宣言』の挿絵などを手がけたフォロンは、大切なことを広く瞬時に伝えるメディアの可能性を信じ、メッセージを受け取った人々が自ら考え、対話することを望んでいました。
《グリーンピース 深い深い問題》1988年 フォロン財団蔵
©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025《『世界人権宣言』表紙 原画》1988年 フォロン財団蔵
©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025Epilogue:つぎはどこへ行こう?
フォロンが終生のアトリエとしたビュルシーの家の窓からは、見渡す限りの平原の先に地平線が広がる眺めが得られました。後に南仏のモナコにも、海に面したアトリエを構えますが、そこからは水平線を望むことができました。空想旅行の締めくくりとなるエピローグには、フォロンが愛したそんな景色が広がります。
地平線を超えて飛翔する鳥、水平線の彼方へと航行する船には、自由へのフォロンの尽きせぬ憧れが投影されているようです。夜明けの太陽に、私たち人間をみつめる未知の創造者の視線を感じたというフォロン。世界は毎朝生まれ変わり、旅はどこまでも続いていく。行先は、ひとりひとりの旅人にゆだねられているのでしょう。
《対話》1975年 フォロン財団蔵
©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025《大天使》2003年 フォロン財団蔵
©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025ジャン=ミッシェル・フォロン略歴
1934年 ベルギーの首都ブリュッセルのユックル地区に生まれる。 1950年- 建築や工業デザインを学ぶ。家族と保養に訪れていた海辺の街クノックでマグリットの壁画に出会い、絵画の可能性に目覚める。 1955年 故郷を飛び出し、パリ近郊でドローイングに専念する生活をスタート。 1960年 アメリカの雑誌社に送ったドローイングが掲載され、注目を集め始める。 1961年 フランス人アーティストのコレット・ポルタルと結婚。彼女の影響で色彩への関心が広がる。 1965年 初めてアメリカを訪れる。
イタリアのタイプライターメーカー、オリベッティの広告デザインを手がけ始める。1968年 パリ近郊の小さな農村、ビュルシーの古い農家に移り住み、ここを終生のアトリエとする。 1969年 ニューヨークのギャラリーで初の個展。 1970年- 初来日を果たし、東京にて個展開催、大阪万博にも出品。
以後各国の国際美術展への参加や、美術館での個展が多数開催される。1988年 アムネスティ・インターナショナルの依頼で『世界人権宣言』の挿絵を描く。 2000年 ブリュッセル近郊のラ・ユルプにフォロン財団を設立。 2005年 モナコにて永眠。 フォロン、ミラノにて 1968年(撮影:コレット・ポルタル)
「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」関連情報
ジュニアガイドで楽しく鑑賞!
中学生以下のお子さまには、鑑賞のヒントが書かれたジュニアガイドをプレゼント!(美術館入口にて先着順にお渡しします。なくなり次第終了)
世界人権宣言 人権パスポート(挿絵:フォロン)を特別販売!
1948年、すべての人間の自由と権利を守るため、国連総会で採択された「世界人権宣言」は、1988年にアムネスティ・インターナショナルによって書籍化されました。その際、挿絵制作を依頼されたのがフォロンでした。
日本では、フォロンの挿絵と谷川俊太郎およびアムネスティ・インターナショナル日本による翻訳が掲載された「人権パスポート」が発行されています。本展ではこの「人権パスポート」を、会期中、チケットカウンターにて特別販売します。お手元に一冊、ぜひどうぞ。
価格:100円
発行:アムネスティ・インターナショナル日本
※お支払いは現金のみとなります展覧会オリジナルグッズ
フォロンの軽妙な線、絶妙なカラーリングを生かしたオリジナルグッズは、各会場で大人気です。かわいらしくてユーモラス、それでいて洗練されたデザインは他にはない本展だけのオリジナル。展覧会会期中、会場でのみの販売となります(通販はありません)。お見逃しなく!
※商品は一時欠品、完売となる場合がございます。空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン 公式図録
日本で30年ぶりの大回顧展にあわせて、久しぶりに刊行されたフォロンの図録。マルチアーティストとしての多彩な才能を見渡せる貴重な一冊です。
フォロン財団理事長による巻頭テキストはじめ、ストーリー風の章構成、担当学芸員のコラムなど読み応えもたっぷり。ディテールにこだわったブックデザインにもぜひご注目ください!価格:3,080円(税込)
発行:ブルーシープ
アートディレクション&デザイン:須山悠里アクリルキーホルダー
全5種 各900円(税込)
Tシャツ
全2種、各4サイズ 各3,850円(税込)
トートバッグ
ナチュラル 1,870円(税込)
タオルハンカチ
全2種 各1,100円(税込)
開催概要
展覧会名 空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン
FOLON:Agency of Imaginary Journeys会期 2025年4月5日(土)〜6月22日(日) 時間 火~金 10:00~20:00
月土日祝 10:00~18:00
※入館は閉館30分前まで休館日 5月12日(月) 会場 あべのハルカス美術館 住所 〒545-6016 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階 MAP 入場料 一般/1,900円(1,700円)
大高生/1,500円(1,300円)
中小生/500円(300円)
※( )内は15名様以上の団体料金。
※障がい者手帳をお持ちの方は美術館チケットカウンターで購入されたご本人と付き添いの方1名まで当日料金の半額チケット購入先 あべのハルカス美術館ミュージアムショップ(美術館開館日のみ)、あべのハルカス美術館ホームページ(オンラインチケット)、チケットぴあ(Pコード:687-105)、ローソンチケット(Lコード:54469)、イープラス、セブンチケット、CNプレイガイド、楽天チケット、近鉄駅営業所、チケットポート なんば 公式サイト https://ourfolon.jp/ 大阪展サイト https://www.ktv.jp/event/folon/ 美術館公式サイト https://www.aham.jp/ SNS一覧 主催 あべのハルカス美術館、産経新聞社、関西テレビ放送、フォロン財団(ベルギー) 後援 ベルギー王国大使館 特別協力 ベルギー王国フランス語共同体政府 国際交流振興庁(WBI) 記事URLをコピーするBuzzArt(バズアート)は、アートに「触れて・考え・繋げる」WEBマガジンです。美術館・ギャラリーの紹介から展覧会・アートイベントの最新情報の紹介・レポート・レビューをしています。
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- 03 展覧会構成